仮免技能試験(場内)SKILL TEST - PREMISES
仮免許の技能試験を受験する上で最も大切なことは、不合格の度に折れる心を元に戻す楽観的な考え方。F1ドライバーでも1回で合格するのは至難なぐらいの運転試験なのだと割り切って(笑)
一言で表現すれば「修羅場」、そんな試験が仮免許の技能試験です……。同じ目的で集合しているので、初対面の方とも性別世代を超えて発着所や技能受付窓口で色々情報交換したりして思いのほか和やかな雰囲気だったりするのですが、ただ、試験自体は非常に機械的に粛々と進められ、容赦なく不合格にされていきます。20人近く受験して合格者ゼロなんていうのは普通の出来事です(笑) あの独特の空気は受験した人にしか分からないですね……。
私は技能試験は4回目の挑戦で合格しましたが、「今日10回目です」とか「恥ずかしくて言えない位です」という人が普通に沢山いました。不合格になると申請書の裏に「不合格」というスタンプを押されるのですが、受付時に裏面が真っ赤かの人も決して珍しくなかったですし、私も10回ぐらいはいくかもという覚悟でやっていました。
とにかく仮免許の技能試験で大切なことは、不合格のときにポキッと折れてしまう心を元に戻す楽観的な気の持ちようだと思います。私も窓口での不合格の発表時は結構凹みましたが、試験場からの帰り道にお疲れビールを呑みながら「これシューマッハでも無理だろ(笑)」とか楽観的に考えるようにして回数を重ねて行き、なんとか合格まで辿り着きました。
試験官からアドバイスされたことや自分で失敗したと思う点は、心に留めておいて次回のチャレンジにつなげなければなりませんが、落ち込みをずっと引きずっていても何も得るものはありません。運転免許試験場の仮免許技能試験なんてそんなもんと、割り切って粛々と進むことです。
私の仮免技能受験記 1回目・2回目
1回目の技能試験はとにかく場慣れの意味で「今日は実践練習」と割り切って受験しました。場に慣れるため、受付を遅らせて敢えて後ろの順番にしました。
2号コースで、前の人は12番側からの11番の見通しの悪い交差点で優先判断を誤って試験中止に。発着所に戻って選手交代、ガッチガッチでしたが何とか完走できました。
「まさか一発いったか!」と思いましたが、「左寄せで目視と同時にハンドルを動かしていた。ライン取りはほぼ完璧なんだからもったいない。」との指摘。合格者ゼロで、噂には聞いたすんごい世界に足を踏み入れてしまったと、すこぶる疲れた一日でした。
2回目は前回と同じく2号コース。前の人はかなりテンパっていたようで、踏切通過後に「今日はここまでにしましょう」と発着所へ。選手交代、前回指摘された左寄せに特に注意しながら、2回目もガッチガチな割りに何とか完走しました。
「これガチでいったでしょう!」と思いましたが、「ATはMTと違って忙しくないんだから、短い区間でもポンピングで減速しないと。安全で円滑ってのはそういうのをちゃんとこなすっていう意味。こういう減点はもったいない」との指摘。また「もったいない」です……。
この「短い区間でもポンピングしろアドバイス」が次回の試験で仇となります(涙)
私の仮免技能受験記 3回目・4回目
3回目は1号コース。前回の「短い区間でもポンピングしろ」のアドバイスを実践すべく、後部座席で右足をペコペコ踏んで直前までイメージトレーニング。前の人は14番左折を前にして終了。発着所に戻って選手交代。
試験車はブレーキが凄く軽くて効きがイイのですが、頑張って前回のアドバイス通り短い区間でもポンピったところ、案の定車体がガッコンガッコンしてしまって完走したものの不合格は明白状態……。しかもアドバイスが「ポンピング使いすぎ」とのことで、ちょっとプチっとキレてしまい、「前回は短路でもポンピングしろ、今回はポンピングし過ぎ。で、一体どっちが正しいんですか?!」と言ってしまいました。
お巡りさんも結構キレめで「私はあなたの前回の試験見てませんから」と言ってました。怒ってもしょうがないんですけど、この一貫しないアドバイスを上手~くいなすことが、技能試験の最大の奥義なのかもしれません。
4回目はまた2号コース。前の人は左から車来てるのに発進&中央線踏みで開始10秒後に終了。いきなり選手交代で焦りましたが、自分をポンピングの呪縛から解き放つべく、運転スタイルを2回目に戻してチャレンジしました。
完走4回目、「全体的に良くできてるけど、もっとリラックスしてハンドルを握りなさいよ」とのアドバイスだったのでほぼ合格を確信。その後発表で仮免ゲットに至りました。
完走できる自信がつくまでは、安全確認とコースのシミュレーションを徹底的に! 「どこで何をする」ではなく、必要な操作と所作は場内のどこでもできるようにしておくのがコツです
神奈川県警察運転免許センターの普通車仮免許技能試験コースは1号コース、2号コース、3号コースと3パターンあり、技能試験受付時に「はい、あなたは2号コースの7番ね」という感じで試験コース指定書が渡されます。「私は3号コースを走りたい」というような希望を出すことはできません。当日どの試験コースを使用するかは、午前・午後、それぞれ受付時間より前もって窓口に掲示されています。
この3つのコースはできるだけ円滑に運転するためにも全て順路を覚えておくことをオススメしますが、試験官が「はい次3番を右ね」とか「14番左折してすぐに13番右折」とか言ってくれますので、覚えていなくても走行すること自体は可能だと思います。道順は間違えても戻ればOKです(戻っている間も採点はされます)。
二俣川の試験場内コースは平日の朝(開門~8:30)と昼(12:00~12:40)は自由に「徒歩で」コース内に入ることができるので、多くの受験者がコース図片手に歩いています。私も3コース全て歩きました。
コースを覚える上で大切なのは、「ここでウィンカーを出す」とか「ここでブレーキを踏み始める」とか、操作を位置で覚えないことです。仮免を取得したら路上での試験になりますが、路上は走る度に状況が変わってきますので、仮免の場内のときから「左折するときはこう」「徐行するときはこう」といった、コースに依存しない操作や所作を身に付けておくと、技能試験は進めやすいのではないかなと思います。
また、場内でも大型や大特など他の試験車や講習車も同時に走っていますので、位置で操作を覚えているとそれらの車との位置関係によって対応できずパニクる可能性も考えられます。私の2回目の試験の前の方は、4番先の障害物の所で「あれっ、位置変わった??」とボソっと呟いてました。多分、進路変更のウィンカー出しを誤った場所で覚えていたんだと思います。障害物がどこにあろうが障害物の避け方を知っていれば、何てことない話です。
3コースの順路がきちんと頭の中に入ったら、実際に車幅感覚やキープレフトをイメージしながら走行シミュレーションをします。私自身が実際に試験のときにやっていた走行イメージや操作・所作のポイントを画像を使って コースシミュレーター としてまとめてみましたので、もしご興味ある方は参考にしてみてください。特に、なかなか最後まで完走できない方は、コースのライン取りが分からないまま技能試験を受け続けても時間とお金の無駄なので、ちゃんと自分の頭の中で走行シーンがイメージできるまではシミュレーション・トレーニングをやってみることをオススメします。
僭越ながら私からのアドバイス
- 五点確認
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- 停止した状態から車を動かす際は、前進でも後退でも、一時停止でも信号でも必ず5点確認をします。左サイドミラー、左後方目視、バックミラー、右サイドミラー、右後方目視の5点です。
- 目線をちょろちょろっと動かすだけではダメで、ちゃんと首を動かして各所を見るようにします。首で大きく漢数字の八の字を描くイメージです。
- ミラーと目視による安全確認は技能試験の大前提中の大前提です。10点減点と大きいですので、できないとすぐ試験中止になってしまいます。
- 三点確認
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- 進路変更や左折でハンドルを切る際は、必ず3点確認をします。バックミラー、サイドミラー、後方目視の3点です。
- 技能試験受験案内では「目視又はミラー」となっていますが、1回目の試験で試験官に「後方と左方とその死角をもっとちゃんと見ようよ」と言われましたので、やはり3点見るのがセオリーのようです。
- 寄せるときですとか曲がるときですとか、一番多くやらなければならない所作なので、これが自然にできるかどうかが合否のカギです。
- キープレフト
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- 走行は基本的に第1通行帯でのキープレフトが原則です。側方間隔は道路交通法では「左側に寄って通行」とあり何cmとまでは規定していないのですが、建造物との側方間隔は50cm以上であり、また寄せ後の左折の際に後輪が1m以上離れると減点ということから、道路左端から50cm~1mを若干超える程度の帯内を左タイヤが通るような走行位置をキープするのが理想とする走行位置だと思われます。二俣川場内コースの水切りは約30cmですので、私はもう2枚水切りがあると仮定し、3枚目の中(道路端から60~90cm、実際の水切り端から30~60cm)に左タイヤを入れるイメージで走行しました。
- 約50m以下の短路への右左折で更に右折が続く場合は、初めの右左折の段階で第2通行帯や中央線寄りのラインに入ってしまって構いません。
- 踏み切り内は脱輪回避のため、キープレフトではなく気持ち中央線の方にラインを取ります。
- 安全かつ円滑
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- 試験前の説明で「道交法で言うところの安全かつ円滑な運転をして下さい」と言われますが、安全で円滑な運転とはルールに則ったメリハリのある運転のことです。
- 二俣川場内は40km/h規制区間以外は最高速度60km/hです。タラタラ走っていると試験官から「出すとこ出そうよ」とか言われます。メリハリのある運転とは、加速、減速、徐行、停止、この4つを規制や道路状況に応じてきちんと使い分ける運転です。最初の注意は減点ゼロですが、同じことをその後もやると最初に遡って10点ずつ減点されます。
- AT車の場合、メリハリを出そうと焦ってアクセルを踏み込むとキックダウンでギアが落ちてしまい、アクセルむらを取られる可能性があるので注意です。
- 優先判断
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- 優先判断は道路交通法の定めに従って非常に厳しく採点されます。判断を誤ってしまうと危険行為で即試験終了、相手の進行妨害まで至らなくても進路を譲らないような場合は10点減点(路上は20点)されます。
- 優先される通行帯を走る車には、緊急自動車の接近や危険を回避するため等の理由以外では基本的に徐行や停止の義務はありません。そのため、優先される側も不要に停止したりすると減点の対象となります。
- [1] 交差点内に中央線が引かれていますので、aとcがbに対して優先です。
- [2] 交差する道路の幅員が同じ程度で交差点内に中央線が共に引かれていない交差点では、左方優先となりaがbに対して優先です。
- [3] 交差する道路の幅員が同じ程度でbはaから見て左方となりますが、交差点内に中央線が引かれていますのでaがbに対して優先です。
- [4] 道路標識や標示によって一時停止が指定されていますので、bはaの進行を妨げてはいけません。
- [5] 右折するbは、aが直進であっても左折であってもその進行を妨げてはいけません。
- 進路変更
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- 走行進路を変更する際は、3点確認にウインカーの操作が加わります。バックミラー、ウインカー、サイドミラー、後方目視、前を向いてからハンドル操作です。例えば左折の前に左に幅寄せする場合は、バックミラー、左ウインカー、左サイドミラー、左後方目視、前を向いてから左にハンドル操作となります。
- 進路変更で実際にハンドルを動かすのはウインカーを点滅させてから約3秒後ですが、上記の流れを確実にやっていれば3秒経過してますのでカウントなんてしなくて大丈夫です。また、右左折の前の幅寄せは、約30m手前の地点ですでに進路変更を終えている必要があります。ただ、たとえ進路変更をしても、寄せが十分でないと5点減点されます。
- 進路変更でウインカーを出さない・継続しない・止めないは、1回目は減点ゼロですが2回目以降は最初に遡って5点ずつ減点されます。
- 前を向く前にハンドルを操作してしまうと10点減点されます。
- 右折前の右寄せは、中央線から右タイヤが50cm以上離れてしまっていると5点減点されます。でも踏んでしまうのはもっとダメです。
- 左折
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- 左折をする際は、直前に必ず巻き込み防止の左方3点確認をし、前を向いてからハンドル操作をします。
- 1号コースは11箇所、2号コースは14箇所、3号コースは10箇所の左折があります。左折は進路変更、巻き込み防止の3点確認、徐行とセットですので、回数が多いだけにちゃんとマスターしていないと途中で減点超過となり完走できなくなります。
- 道路左側端から左後輪が1m以上離れて曲がってしまうと5点減点ですが、実際にはもっとタイトに曲がることを要求されます。水切りと道路の境界部分が約30cmですので、私は左後輪が水切りの端に沿って円弧を描くイメージで走行しました。
- 左折前に内輪差を気にしてハンドルを右に振ってしまうと、5点減点されます。左折・左方向操作で右に振っていいのは、狭路(クランク・S字)と本免技能試験の方向変換で出るときだけです。
- 二俣川の左折を小回りで回るためのポイントを、シミュレーター にまとめておきましたので、どうしても苦手という人は参考にしてみてください。
- 右折
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- 右折は左折のような巻き込み防止の3点確認をしなくても減点対象にはなりませんが、私はハンドルを切る前にチラっと右側後方目視だけはするようにしました。
- 対向車を確認せずにいきなり行こうとすると10点減点されます。また、一時停止の指定場所以外での右折は、対向車や自分よりも優先されるべき車がいない限りは一時停止をする必要はありません。発進機会を逃しても減点の対象となってしまいます。
- 「直角をイメージして曲がる」という方もいるのですが、T字であっても交差点の中心のすぐ内側を曲がるのが正しい右折のラインです。ただし、ぐいっと斜めにショートカットしてはいけません。左前輪が交差点の中心から2m以上離れて通行すると5点減点されます。また、右前輪が交差点の中心の外側を通ってしまっても5点減点されます。
- 一時停止
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- 一時停止は停止線の手前で確実に停止します。2m以上手前で停止すると5点減点されます。どのコースも試験開始発進後に最初にやらなければならないのは一時停止なので、まずはこれを落ち着いてやりましょう。
- 確実に停止した後、5点確認に更に左右首振り目視をプラスして発車します。ストップ&ゴーみたいなのは一時停止とは見なされません。
- 15番から入って21番や、20番から入って16番のような「植木でリアルに見えにくい一時停止」は、一時停止後に少し前へ出て再度、左右の安全確認を前に乗り出し気味で目視でしてから右左折するようにします。
- 旧コースは場内でも傾斜があったため、一時停止でサイドブレーキを使用するのも有効だったようですが、新コースは坂道以外はほぼフラットですので、一時停止箇所で逆行に神経質になる必要はありません。
- 坂道発進
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- 上り坂での停止状態からの発進は、ATであってもサイドブレーキは必須です。サイドブレーキを引かない行為に対する減点はありませんが、逆行は非常に厳しく採点されますので要注意です。
- 30~50cmの逆行で10点、50~100cmの逆行で20点、100cm以上または危険な逆行は試験中止となります。「絶対に下がってないのに逆行と言われた」という方も何人かいたため、神奈川県では実際には減点細目以上にストリクトに採点されていると考えられます。数cmでも「危険」と言われてしまえば言い返せないわけです……。
- 同一場所での逆行は、30cm未満のものを含めのべ距離で採点されます。最初に18cm逆行して次に14cm逆行すると、合わせ技で10点減点されます。
- 狭路
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- 狭路コース(S字・クランク)は、最初の1回は減点なしで切り返しが可能です。2回目、3回目はそれぞれ5点減点、4回目は通過不能で試験中止となります。
- ポールへの接触は軽い接触が20点、強い接触が試験中止、縁石への接輪は5点、脱輪は中(乗り上げた地点から1.5m以内で停止)で20点、大(乗り上げた地点から1.5m以上移動)で試験中止と非常に厳しく採点されます。
- 狭路コース内では、内輪差を確保するために左右にハンドルを切る前に逆方向へ車両前部を振っても、ふらつきの減点対象にはなりません。車両前部を振ることが許されているのは、普通仮免・普通一種では狭路と方向変換だけです。